ルプラ南峰 Tête Sud du Replat (3428m)

7月21日 晴れ


ルプラはラトーの向かいに相対するようにたたずむ南と北の双耳峰です。西から始まる4kmほどのソレイエ連峰の一番東に位置し、そのまた東にはメイジュ(3983m)がそびえています。
一見地味な山ですが、山小屋からのアクセスもよく、南峰は登攀もさほど難しくありません。山頂からはこの連峰の迫力あるキレットが手に取るように間近に迫って見えます。



出発地点標高 セルの山小屋 Refuge de la Selle 2673m
到着地点標高 ルプラ南峰 Tête Sud du Replat 3428m
標高差 登り セルの山小屋〜ルプラ南峰 755m
下り ルプラ南峰〜シャテルレ小屋 1196m
所要時間 登り 3時間15分
下り 2時間
道具 ピッケル、ヘルメット、アイゼン、ザイル、ハーネス、アイススクリュー、カラビナ、ヌンチャク、スリング
地図 IGN 3436 ET




【この日の前日、20日について】
実はこの21日の登攀の前々日(19日)にラトー西峰に登攀した。その時水分補給をしなかったせいでセルの山小屋に着いた時には吐くは寒気はするは胃がともかく痛いはで体調を崩してしまったのだ。翌朝起きてみても吐き気は続いていたし、朝食も食べる気がしなかった。この日はラトー東峰を登攀する予定だったのだが、頑張って途中までトライしてみるか、どうしようか迷った・・・迷った末に小屋に残って体調の回復に勤めることにした。標高差1000m以上はあるし、急斜の氷河を登る自信もはっきり言ってなかった。ここで無理をせずに1日休んで残り2日間、登攀できたほうがいい。幸いセルの小屋には2泊だったので男衆たちはこの日もこの山小屋に帰ってくる。
そうと決まったら男衆たちを朝5時に見送り、また寝た。

1日かけてたくさん水分を取り、食べるように心がけた。夕方には調子を取り戻してきたように思う。
余談だが、男衆5人でラトー東峰をアタックしたが、うち2人は途中で体力的に断念、残り3人も山頂までは至らなかったという。そんなんだったら私も残って正解だったと思った。

山小屋からの眺め ソレイエ連峰が広がる

セルの山小屋 食堂は突き出た部分
セルの谷 この谷を下っていくとベラルドへ
花もいっぱい咲いてた

ということで、前日に充分鋭気を養った私はこの日のルプラ南峰の登攀に意欲満々。
しかもしっかり昼寝もしておいたので(ごめんね、男衆)朝4時の起床もばっちり。一番に食堂に駆けつけ朝食を食べる。もう今日からはトイレに躊躇して水分不足にはならないぞ。「よし」とわけもなく意気込み紅茶を2杯飲む。
気温はそんなに下がってない。5時30分出発。
始めは小屋の裏手を登り、山腹をトラバース。標高差はさほどない。1時間ほどガレ場を歩くと氷河に突き当たる。この氷河をさらにトラバースし、いよいよ氷河上をコルに向かい登り始める。

夜明け
右ルプラ南峰(3428m)と左北峰(3442m)

左の氷河をトラバースし写真中央に達し、直登してコルへ、コルからは岩壁登攀
コルへ向かう登り
先方に2人のパーティーが先行

ここまでは調子よく来た。やっぱり水分補給ってとっても大切なのね。特に天気が良くて乾燥している時は。今日はトイレしたくなったら平地だって氷河上だってどこだってドンとこいってもんだ。そういう時に限って案外行きたくならなかったりするものなのよね。
氷の状態は悪くない。クレバスもないし、アイゼンも程よく氷に噛み付く。左側にセラックがあるので(上写真で写真中央上)ここは避けて通る。先行パーティーがいたが後ほど追い越し、私たちがセラックを避けて右側を通るとそのトレースを追って来た。
このセラックの辺りからコルまでは結構な急斜だった。昨日の今日だったので私はセカンドで登る。
と、ここでハプニング。デジカメの電池が点滅!寒さのせい!あと2日あるのに・・・バッテリーの換えなし。急いでポケットに入れ暖めるが遅いかなぁ・・・トホホ。
で、ここからは必要最低限撮影という省エネモードです。

ルプラ南峰山頂
ここにアイゼン、ピッケルをデポして往復する
デポしてちょっと休憩
後ろはルプラ北峰
中央はルプラ北峰と今登ってきた氷河
その奥が孤高メイジュ
左はラトー東峰に続く尾根(男衆が昨日通った尾根)
山頂に向けて尾根を登る

コルからは岩場の登攀だったが難所はなく山頂に。山頂には9時前に到着。まだ時間が早いこともあって、みんなで山頂で談笑。
ここからの眺めはラトーからの眺めに勝るとも劣らず素晴らしかった。西に伸びる尾根、キレットが迫力満点。(写真なしです・・・)

この眺めを満喫しながら、明日どの山に登攀しようかを話し合う。というのも、エクラン山群でも夏の気温の上昇により岩がとてももろくなっている。落石や崩落がしばしばあるので、あまり岩の状態の良くない尾根に取り付くのは避けたい。昨晩は小屋の管理人さんに情報をもらっておいた。
検討の結果、明日は目の前にその雄姿を見せているルプラ北峰に登ることにした。今来たコルの下にザイルやアイゼンなどデポしておけるメリットがあるし。

うち一人通称ブルドーザー君が、「時間が早いことだし、これから北峰に登攀しよう」などと言い出した。
がこれからまた取付点(上写真で、山頂から右下に伸びているのが南尾根登攀ルート)まで下り、200mちかくを登攀し、さらに1200mの標高差を小屋まで下るのは大変だと、反対意見多数で却下。

体も冷えてきたことだしコルまで戻りデポしたものを回収し、登りとは反対側の谷に下り始める。
明日の登攀のためにザイル等をデポするいい岩場を発見。ちょうど雪渓が終わる辺りで、いい目印にもなる。
ここでまだ11時だったが昼食。
が、またハプニング。みんなで昼用4日分持ってきたパンやサラミやチーズ類が底を突きかけている!
男衆よ、君たちちょっと食べすぎでないかい?
うち一人
通称掃除機君(とにかく何から何までよく食べるから)が、「シャテルレ小屋に行けば何とかなるよ」の一言ですべてを食べつくしてしまった。
普通さ、持ってる食料を4日分4等分して食べないか〜?あればあるだけ食べてしまうからいつも私は食いっぱぐれてしまうのさ。

時間がかなりあるので、この雪渓でザイルやビニール袋を使ったレスキューの仕方なんかをやって遊ぶ。尻セード競争なんかやってちょっとはしゃいだ後、下山し始める。

このガレガレのガレ場を1000m近く下るのはかなり足がくたびれた。
今思えばこの下りくらいから足に負担がかかっていたのかもしれない。特に右足は私の利き足だし。

ザイルでのレスキュー実験で遊ぶ男衆
雪渓は登山靴でスキーをしながら降りる
早い早い!
気を抜くと転びそうなガレ場
明日はまたここを登るのだ

3時、ようやくシャテルレ小屋に到着。メイジュの足元のこの小屋は隣に川が流れているので、早速おばあさんは川に洗濯に、じゃなくてお姉さんは水浴びに行く。3日ぶりなので体を拭くだけでも気持ちがいい!
その後夕食まで昼寝。さすがの男衆も疲れたようでイビキをかいて寝ていた。
夜も早めに就寝。明日は最後の登攀、また天気でありますよ〜に。



 





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